IPアドレスにも形式がある
インターネットの世界には、2つの「住所」のルールが存在しています。
「IPv4」と「IPv6」です。
PCやスマホの設定画面で、この文字列を見たことがあるかもしれません。
なぜ2種類もあるのか。どっちがどう違うのか。
結論から言えば、これは「数の桁違い」と「通る道路の違い」です。
今日は、この2つの規格がどう違って、どう共存しているのか。その仕組みを解説します。
IPv4:43億個の椅子取りゲーム
現在、インターネットの主流として長年使われてきたのが「IPv4」です。192.168.0.1 のように、数字4つの塊で表されます。
このルールで作れる住所の数は、約43億個です。
インターネットが生まれた当初、43億という数字は「永遠に使い切れない数」だと思われていました。
しかし、スマホ、PC、ゲーム機、家電までもがネットに繋がる現代において、この数はあまりに少なすぎました。
世界人口は80億人を超えています。
単純計算で、一人に一個も行き渡りません。
そのためIPv4の世界では、一つの住所を(IPを)複数の機器で使い回すなどして、なんとか枯渇を防いでいるのが現状です。
IPv6:340澗(かん)という天文学的数字
この「住所不足」を根本から解決するために作られた新規格が「IPv6」です。2001:0db8:... のように、英数字の長い列で表されます。
その数は、約340澗(かん)個。
340兆の、1兆倍の、さらに1兆倍です。日常では使わないので、そもそも澗という単位があることを知らない方も多いはずです。
この数がどれくらい異常かというと、「地球上のすべての砂粒一つ一つにIPアドレスを割り振ってもまだ余る」レベルです。
事実上の「無限」です。
IPv6の導入により、住所の枯渇問題はまったく心配なくなりました。
通信方式の違い:トンネルとバイパス
この2つは、数の多さだけでなく、通信の「通り道」も異なります。
IPv4の道路(PPPoE)
従来のIPv4通信は、ネットに接続する際にNTTの基地局にある『網終端装置』という巨大な関所を通る仕組み(PPPoE)が一般的です。
利用者が増える夜間などは、この関所が混雑しやすく、通信速度が低下する要因の一つとなります。
IPv6の道路(IPoE)
一方、IPv6で使われる新しい接続方式(IPoE)には、この関所がありません。
直接インターネットの世界へ接続できるため、混雑の影響を受けにくい構造になっています。
よく「IPv6は速い」と言われるのは、規格そのものの速度というより、この「空いている新しい道路(IPoE)」を通れるケースが多いからです。
なぜ2つとも使われているのか
「そんなにIPv6が凄いなら、IPv4なんて捨てればいい」
そう思うかもしれませんが、そう簡単にはいきません。
IPv4とIPv6には互換性がないからです。
(数は少ないでしょうが)IPv6しか持っていないPCからは、IPv4で作られた古いWebサイトを見ることはできません。
逆もまた然りです。
世の中にはまだ、IPv4でしかアクセスできないWebサイトやサービスが数多くあります。
そのため現在は「IPv4 over IPv6」といった技術を使い、新しい道路(IPv6)を通りながら、古い荷物(IPv4)も運べるような仕組みで、両方の世界を繋いでいます。
まとめ:新旧が支えるネットの裏側
- IPv4: 43億個。数は限界だが、まだ世界の標準。
- IPv6: 340澗個。数は無限。新しい道路を使える。
インターネットは今、この2つの規格が混在する過渡期にあります。
限られた資源をやりくりする旧規格(IPv4)と、無限の広がりを持つ新規格(IPv6)。
普段私たちが意識することはありませんが、パソコンやスマホといったインターネットと繋がるあらゆる端末は、この2つの言葉を巧みに使い分けながら、世界中のサーバーと会話をしているのです。


コメント