3桁の数字は「接客態度」です
ネットを見ていると、突然画面が真っ白になり、意味不明な英語と「404」や「503」といった数字が突きつけられることがあります。
あなたは舌打ちをし、ブラウザの「戻る」ボタンを連打するでしょう。
ですが、彼ら(サーバー)も悪気があってやっているわけではありません。あれは、レストランの厨房から聞こえてくる叫び声のようなものです。
我々がウェブサイトを見る時、実はネットの向こう側にいる「サーバー」という名前の管理人にお願いをしています。「このページを見せて」という注文に対し、彼らがどう反応したか。それを表すのがHTTPステータスコードです。
教科書には「レスポンスコード」などと書かれているかもしれませんが、最初のうちは忘れても構いません。
これは「接客態度」のランク付けです。
100番台から500番台まで、数字の大きさは事態の深刻さと比例します。それぞれの階層で彼らが何を叫んでいるのか、その本音を翻訳します。
100番台:独り言
「ええ、はい、聞いてますよ……」
ここに属する数字を目にすることは滅多にありません。
これはあなたの注文を受けている最中に、サーバーが漏らす独り言です。電話口で保留音の代わりに聞こえてくる「あー、はいはい」という相槌のようなものだと思ってください。
気に留める必要はありません。彼は仕事中なのです。
200番台:優良社員の対応
「ご注文の品、お持ちしました!」
あなたが普段、快適にネットを見られている時。裏側では常に「200 OK」という信号が飛び交っています。
- 201:「新しいページ作っときましたよ」
- 204:「処理終わりましたけど、見せるもんはないっすね」
彼らは極めて優秀なウェイターです。文句を言わず、迅速に料理を運ぶ。
あまりに完璧すぎて、ユーザーである我々は彼らの存在に気づきません。悲しいことですが、トラブルがない状態こそが正常なのです。
300番台:たらい回し
「ああ、それなら3番窓口へ行ってください」
役所でよくある光景です。
ここにはあなたが探している情報はありません。ですが、彼らは親切(あるいは無責任)なので、新しい住所を知っています。
- 301(完全な引っ越し)
「あの店なら潰れて、向かいのビルに移転しましたよ」。二度と元の場所に戻る必要はありません。 - 302(一時的な出張)
「今はあっちにいますけど、すぐ戻ってくると思いますよ」。とりあえず今日はあちらへどうぞ、という案内です。
彼らは解決しません。ただ、指を差すだけです。
400番台:お前が悪い(逆ギレ)
「お客さん、言葉通じませんね」
ここから空気が悪くなります。400番台のエラーが出た時、悪いのはサーバーではありません。あなたです。
彼らは明確に、閲覧者であるあなたのミスを指摘しています。
- 400 Bad Request(何言ってるか分からない)
あなたの注文が支離滅裂です。日本語で話しかけてください。 - 401 Unauthorized(会員証見せろ)
「ここは会員制クラブです」。パスワードを入れて出直してください。 - 403 Forbidden(出禁です)
「帰ってください」。パスワードが合っていても、あなたには見る権限がありません。ここは社長室なのです。 - 404 Not Found(そんなものはない)
おそらく世界で一番有名なエラーです。「在庫を探したけど、ありませんでした」。あるいは「昔はあったけど、もう捨てました」。
この冷徹な通告は、あなたがURLを打ち間違えたか、ブックマークが古すぎるか、運営が夜逃げしたかのどれかです。
そして、変わり種の「418 I’m a teapot」。
「私はティーポットなので、コーヒーはいれられません」
という意味です。これは冗談ではありません。かつてエンジニアたちがエイプリルフールに作った、実在する仕様です。ネットの深淵には、こうしたジョークも埋まっています。
500番台:僕が悪い(崩壊)
「もう無理……仕事辞めたい……」
この数字が出たら、画面の前で祈ることしかできません。
悪いのはあなたではありません。サーバーの過労死です。
彼らは内部で致命的なミスを犯し、パニックに陥っています。
- 500 Internal Server Error(パニック)
「理由は分かりませんが、とにかく動けません」。最もたちが悪いエラーです。プログラムのミスか、設定の不備か。厨房で火災が起きているようなものです。 - 502 Bad Gateway(連携ミス)
「調理係に伝えたんですけど、返事がないんです」。中継地点でのトラブルです。 - 503 Service Unavailable(過労によるダウン)
「今、お客さんが多すぎて対応できません!」。人気アイドルのチケット発売日に発生するのはこれです。店員が一人しかいないのに、1000人の客が押し寄せた状態です。彼は床に倒れ込んでいます。
エラー画面は「対話」である
503エラーを見て「ふざけるな」とスマホを投げるのはやめましょう。
それは、過酷な労働環境で必死に耐えているサーバーからの「もう休ませてください」という悲痛な叫びです。
あるいは、404エラーが出たら、「存在しないものを探し求めていた自分の愚かさ」を反省する機会かもしれません。
3桁の数字。それは無機質な記号ではなく、ネットという広大な海で働く彼ら(サーバー)の、感情の吐露なのです。
次に見かけた時は、「お疲れ様」と心の中で呟きながらそっとブラウザタブを閉じてあげてください。

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