不良とパシリの関係は、リクエストとレスポンスを体現していた
スマホでリンクをタップしたのに、画面が白く固まったまま動かない。
そんな時、あなたの脳裏には「電波が悪いのか?」「スマホが壊れたのか?」「世界が止まったのか?」という疑念が渦巻きます。
その裏側で起きているドラマ。それが「リクエスト」と「レスポンス」です。
インターネットの世界は、想像以上に上下関係の激しい縦社会です。そこには「命令する者(クライアント)」と「命令される者(サーバー)」しかいません。
この二者の間で行われる「パシリの会話」こそが、Webのすべてです。
リクエスト:傲慢な「あれ取ってこい」
あなたがブラウザ(ChromeやSafariなど)でURLを叩いたり、リンクを押したりする行為。これはただの優雅なネットサーフィンなどではありません。
あなたは遠く離れた場所にあるコンピューター(サーバー)に向かって、「おい、そのページを見せろ」と命令しているのです。
これがリクエスト(要求)です。
リクエストは、ワガママな注文票です。そこには細かい指示が書かれています。
- どこで(URL): 「東京のデータセンターにある○○ブログの」
- 何を(リソース): 「猫の画像を」
- どうしろ(メソッド): 「よこせ(GET)」または「送信しろ(POST)」
その時のあなたのスマホは、指一本でサーバーを酷使する暴君です。
「次のページ出せ」「ログインさせろ」「いいねボタンを押したことにしろ」
この矢継ぎ早な命令が、光の速さで海底ケーブルを駆け抜けます。
レスポンス:健気な「へい、お待ち」
一方、命令を受けたサーバーは、24時間365日働き続ける社畜です。
文句ひとつ言わず、あなたのリクエストに応えます。倉庫(データベース)から指定された猫の画像を探し出し、丁寧に梱包して送り返してくる。
これがレスポンス(応答)です。
レスポンスは単なる「データ」ではありません。そこには必ず「報告書(ステータスコード)」が添付されています。
料理と一緒に、ウェイターの「一言」が添えられているイメージです。
エラー画面の正体:店員の言い訳リスト
Webを見ていると、「404 Not Found」などの数字が表示されてイラつくことがあります。あれは、サーバーからの必死の言い訳(レスポンスコード)です。
数字の意味を知れば、サーバーの気持ちが分かります。
- 200 OK(成功)
「ご注文の品、完璧にご用意できました!」
これが通常の成功状態。何も表示されず、普通にページが見れるのはこの報告が裏で届いているからです。 - 404 Not Found(見つかりません)
「お客様、倉庫の裏まで探しましたが、そんなページはありませんでした…」
リンク切れです。悪いのはサーバーではなく、間違った地図(URL)を渡した側か、ページを消した管理者です。 - 500 Internal Server Error(内部サーバーエラー)
「すいません! 厨房でボヤ騒ぎです! 料理どころじゃありません!」
サーバー側のプログラムが故障しています。あなたは悪くありません。直るまで寝て待つしかありません。 - 403 Forbidden(閲覧禁止)
「あんたに見せるメニューはねえ。帰りな」
会員限定ページなどで起こります。権限がない状態でアクセスしようとすると、入口で屈強なガードマンに止められます。
「待つ」時間の正体
あなたがリンクを押してから、新しい画面が出るまで一瞬の空白の時間があるかもしれません。あそこで何が起きているか。
それは「いってこい(リクエスト)」と投げたボールが、「ただいま(レスポンス)」と返ってくるまでの滞空時間です。
アメリカのサーバーへアクセスするなら、ボールは太平洋を往復しています。サーバーが混雑していれば、店員がバックヤードで走り回っていてレジに出てこれない状態です。
画面が白い時、怒らないであげてください。目に見えないボールが、必死でデジタルの荒野を飛んでいる最中なのです。
まとめ:ネットは巨大なキャッチボール
リクエストとレスポンス。名前は仰々しいですが、やっていることは単純です。
「くれ」(リクエスト)
「ほらよ」(レスポンス)
この単純なやり取りを、1ページ表示するだけで数十回、数百回と繰り返しています。(画像1枚、文字データ1つ、それぞれにこの会話が発生します)
今度スマホの画面が読み込み中でグルグル回っていたら、心の中で応援してください。
「おいパシリ、転ばずに生きて帰って来いよ!」と。
インターネットは今日も、あなたの指先ひとつの命令で動く、忠実で健気なシステムの上に成り立っているのです。



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